発表会が終わった帰り道、助手席に座った娘がぽつりと言いました。「わたし、チアに向いてるのかな」。
なんとなく気になっていたけれど、なかなか口には出せなかった言葉。それを先に娘が言ってしまった。保護者としては、どう答えたらいいのか一瞬迷いますよね。
「向いてる子かな…」と気になり始めたとき

練習後に車に乗り込んだ娘が、いつもより口数が少ない。「どうだった?」と聞いても「うーん…」とだけ言って窓の外を見ている。そんな帰り道が続いたとき、保護者の側も「向いていないのかも」とすうっと不安が広がることがあります。
チアダンスを始めて半年ほど経った頃は、伸び悩みを感じやすい時期です。最初のうちは「できた!」が積み重なりやすいのですが、少し経つと周りの子と比べてしまったり、思うように上達しない技が出てきたりして、急に「うちの子は向いているのか」という問いが浮かんでくることがあります。
気になるのは、あなただけじゃないと思います。向いてる・向いていないを判断する前に、まずどういう子が続けていくのかを見てみましょう。
チアで伸びた子に、共通していたこと

チアダンスを数年続けている子の保護者から話を聞くと、「最初から上手だった」という声はそれほど多くありません。むしろ、「最初は全然できなかった」という話の方がよく出てきます。
できなくても続けた、という共通点
共通しているのは、「できないことをそのまま続けた」という経験です。スコーピオン(片足で立ってもう片方の足を後ろに高く上げるポーズ)がなかなか安定しなかった子でも、焦らずに練習を重ねるうちにぐらりとしなくなった、という話があります。トータッチ(両足を横に開いてジャンプする技)の高さが出なかった子が、力の入れ方を変えたことで変わった、という話も複数聞きます。トータッチの体の使い方についてはこちらの記事でも事例を紹介しています。
リズム感や体力、表現力は、はじめから持っている子もいますが、練習の中で育っていく場合もあります。向いているかどうかよりも、積み重ねができるかどうかが、続けていくうえで大きく影響していることがあります。
チームでそろえることが好きかどうか
チームワークを大切にできる子というのも、よく聞く特徴です。チアダンスは一人で踊るスポーツではありません。発表会でひとつのフォーメーションを作り上げるとき、自分だけでなくチームメイトの動きとそろえる意識が育ってくると、ぐっと見栄えが変わります。その感覚を楽しめるかどうかが、長く続けられるかどうかに関わってくるようです。
「向いていないかも」と思ったとき親はどうしたか(事例)
もう少し見てみよう、と続けた保護者の話
チアを始めて1年ほど経った頃に「やめさせようかと思った」という保護者がいます。
娘さんはリズム感が悪いわけではないのですが、ジャンプ系の技が苦手で、発表会のたびに周りと差が出ている気がして気になっていた、とのことでした。
担当の先生に相談したところ、「今、体の使い方を変えている途中だと思います」という言葉があったそうです。手足の力で何とかしようとしているうちはうまくいかないが、全身の使い方がそろってくると技の感触が変わる時期が来ることがある、という話を聞いて、もう少し見てみようと続けることにした、と話してくれました。
それから半年後、娘さんはトータッチの感触がすっと変わった、と言っていました。技の上達よりも「娘が自信を持って舞台に立てるようになった」という変化の方が、続けてよかったと感じた理由だったそうです。
笑顔への意識が変わったら、上達が加速した話
もう一つ、別の保護者の話です。「向いていないんじゃないか」と感じていたところ、笑顔で踊ることへの意識が変わったときに上達が加速した、という経験をされています。チアダンスは技術だけでなく、表情や笑顔で見ている人を引き込む側面があります。技術的な伸びが止まったように見えても、表現の部分でじわじわと変化が出てくることがあるようです。
保護者が見ておきたい、たった一つのポイント

「向いてるかどうか」を測る指標はいくつか思い浮かびますが、保護者が最初に見ておきたいのは「娘がどんな表情でチアをしているか」だという声をよく聞きます。
発表会の後、うまくできた技の話よりもチームメイトとのこと、あの場面が楽しかったという話が出てくる子は、続けやすい傾向があります。逆に、「もうやめたい」という言葉が出るときは、それが技術への悩みなのか、人間関係なのか、単純に疲れているのかを一緒に整理してあげることが先になります。
チアダンスで体の使い方が変わると、それまでうまくいかなかった動きが変わることがあります。ジャンプが高くなった、スコーピオンが安定した、トータッチのタイミングが合うようになった、という話は、体の使い方を見直したことで起きることがあります。
スコーピオンやトータッチの動きが気になる方は、スコーピオンの安定について書いた記事も読んでみてください。チアがそもそもどんなスポーツか気になる方にはチアダンスの基本を紹介したページが参考になるかもしれません。続けることへの不安が大きい方は習い事として大変なのかについて書いた記事も合わせてどうぞ。
よくある質問
チアダンスに向いていない子はどんな子ですか?
「絶対に向いていない」という特徴はなかなか言えません。ただ、チームで動くことが苦手で一人で完結したい気持ちが強い場合や、音楽に合わせて動くこと自体が好きではない場合は、続けるのが大変に感じることがあるようです。始めてみて「合わないかも」と感じたときは、何が合わないのかを少し整理してみると判断しやすくなります。
向いてる子の特徴は?
特定の才能というよりは、「続けられる環境と気持ち」が大きいという話をよく聞きます。リズム感や体力、表現力はある程度練習で育つ部分があります。上達がゆっくりでも、発表会に向けてコツコツ取り組める子は、気がつくと伸びていることがあります。笑顔でいることを楽しめる子は、チアダンスの雰囲気に合いやすい傾向があります。
何歳から始めるのがいいですか?
教室によって異なりますが、3〜4歳から受け入れているところもあれば、小学生からを対象にしているところもあります。はじめのうちは技の習得よりも「リズムに合わせて体を動かす楽しさ」を体験することが中心になることが多いです。始める年齢よりも、どんな環境で始めるかの方が継続に影響することが多いようです。
続けるかどうか迷っているとき、一度体の動かし方を見てもらうのも一つの手です。娘さんがどう動くかを確かめてみたい方は、こちらをどうぞ。
チアダンスとチアリーディングの違いが気になる方は、こちらもあわせてどうぞ。

