チアの発表会や動画を見ていて、踊りは頑張っているのに笑顔がかたい、と感じたことはないでしょうか。口角は上げているのに、どこか無理をしているように見える。あるいは、動きに必死で表情まで気が回っていない。うちの子は笑顔が苦手なのかな、と気になっていませんか。
チアで笑顔は大切な要素です。でも、笑顔だけを取り出して練習しても、なかなか自然になりません。表情がかたいのには、実は体のほうに理由があることが多いのです。
笑顔がぎこちないのは、表情の問題ではない

「もっと笑って」と言われて、口角をぐっと上げる。すると、目は笑っていないのに口だけが開いた、こわばった笑顔になります。作ろうとするほど不自然になるのは、大人の集合写真でもよくあることです。
踊りながらの笑顔がぎこちない子を見ていると、多くの場合、体全体に力が入っています。振りを間違えないように、動きを大きく見せようと、全身がぐっと力んでいる。その力みは、顔にもそのまま出ます。肩や首がこわばっていると、表情だけをゆるめるのは、とても難しいのです。
つまり、笑顔がかたいのは表情そのものの問題というより、体の状態が顔に映っているだけ、ということもあります。顔だけをなんとかしようとしても、うまくいかない理由がここにあります。
余裕のある子は、体がゆるんでいる
見ていて自然な笑顔で踊れている子は、たいてい体に余裕があります。動きに追われていないから、表情に気持ちを乗せる余白がある。逆に、動きでいっぱいいっぱいの子は、笑うどころではありません。
表情は、心のゆとりのあらわれであると同時に、体のゆとりのあらわれでもあります。体がふっとゆるんでいると、呼吸が深くなり、顔まわりの力も自然にほどけます。すると、作らなくても表情がやわらかくなっていきます。
だから、笑顔をよくしたいときに先に見たいのは、口元ではなく体のほうです。動きに余裕が生まれると、表情はあとから自然についてくる。踊りそのものが軽くなると、笑顔も軽くなる、という順番です。
指摘を重ねるほど、笑顔は遠ざかる
笑顔がかたいと、つい「笑って」「もっと笑顔で」とくり返し言いたくなります。ところが、言われるほど本人は笑顔を意識してしまい、顔だけに力が入って、ますますこわばることがあります。うまく笑おうとするプレッシャーが、余裕を奪ってしまうのです。
本人も「笑えていない」ことは、たいてい自分でわかっています。そこへ何度も指摘が重なると、踊ること自体が楽しくなくなってしまうこともあります。笑顔は、楽しいから出るもの。その順番が逆になると、かえって遠ざかります。
だから、表情を直接なおそうとするより、踊りそのものが軽くなる方向に目を向けるほうが、遠回りに見えて近道です。動きに余裕が生まれれば、笑顔は指摘しなくても、ひとりでに出てくるようになります。親が見るところを、口元から体へ移してみるだけで、かける言葉も変わってきます。
「笑って」より先に、体がゆるむほうが早い
とはいえ、「体をゆるめて」と言葉で伝えても、なかなか伝わりません。力がふっと抜けた状態というのは、説明されて頭で理解するより、一度自分の体で味わってしまうほうが、ずっと早くつかめます。
体が軽くなる感覚を知った子は、踊っているときの余裕が変わります。動きに追われなくなると、自然と顔が上がり、表情がゆるみ、笑顔がこわばらなくなる。「笑って」と何十回言うより、体のほうがほどけたほうが、結果として笑顔に近づくことがあります。
笑顔の練習を否定しているのではありません。ただ順番として、体がゆるんでいるほうが表情はずっとつくりやすい。整った状態を体で知ることは、踊り全体にも、その先の表情にも効いてきます。
よくある質問
家で笑顔の練習をさせたほうがいいですか?
鏡の前で笑顔をつくる練習も、悪くはありません。自分がどんな顔で笑っているのかを知っておく役には立ちます。ただ、体がこわばったまま口元だけを動かしても、本番の踊りの中では続きにくいものです。表情だけを切り離して鍛えるより、体全体がゆるんで動ける状態を知っておくほうが、踊りながらの自然な笑顔につながりやすくなります。
緊張すると表情がかたくなります。どうしたらいいですか?
緊張すると体に力が入り、それが顔にも出ます。表情だけをゆるめようとしても、体がこわばっていると難しいものです。力みがほどけた状態を先に体で知っておくと、緊張したときでも表情まで固まりにくくなっていきます。
笑顔がぎこちないのは、お子さんの表情が苦手だからではなく、体に力が入っているサインかもしれません。体がふっとゆるんで整った状態を一度味わうと、笑顔は作らなくても自然に出てくることがあります。踊りが軽くなったお子さんの、ほどけた表情を見られたら、続けてきてよかったと感じられるかもしれません。この体のゆるみは、説明を聞くより一度味わってみるほうがつかみやすいものです。体を動かしながら、肩や顔まわりの力がふっと抜けるのを味わってもらう場です。お子さんの表情が気になる方は、一度足を運んでみてください。
笑顔がほどける体のゆるみを体験する

