発表会まであと数週間。練習のたびに娘のトータッチを見ていたけれど、なんとなく低い。同じクラスの子がすっと高く飛んでいるのに、うちの子は足があまり上がらない。「もっと足を開いて」と声をかけてみても、変わっている気がしない。
そんな場面を繰り返し見ていると、「練習が足りないのかな」「柔軟が足りないのかな」と思いたくなります。でも、トータッチが変わった子を見ていると、どうやらそこだけが問題ではなかったようです。
足を開こうとするとき、実は起きていること

トータッチを練習するとき、多くの子は「もっと足を開かなきゃ」と意識します。当然といえば当然です。高く、大きく開いたほうがきれいに見えるから。
でも、強く「開こう」と意識するほど、体には余分な力が入ります。特にジャンプの踏み切り直前に力んでしまうと、床を蹴る力が分散してしまいやすくなります。足を開くことに意識が行きすぎて、肝心の「上に飛ぶ」動作がおろそかになる、というイメージです。
ハイVでしっかり腕を振り上げる動作も、力みがあると肩まわりがぐっと固まって、腕の振りが小さくなります。腕の振りが小さくなれば、ジャンプの勢いも落ちます。「足を開こう」という意識が、結果として高さを奪っていることがあるのです。
練習を近くで見ていた保護者の方がこう話していました。「力んでいるときほど、足が重そうだった」と。その子が変わったのは、足の開き方を変えたときではなかったそうです。
「一瞬力を抜く」とジャンプが変わった話

チアの指導に関わっている方のなかに、「ジャンプ直前に一瞬だけ力を抜く感覚を練習した結果、トータッチの高さが変わった子がいた」と話してくれた方がいます。
具体的には、踏み切りの直前まで力んだ状態でいるのではなく、ぽんと弾むような感覚でジャンプに入る、という話でした。脱力してから瞬発力を使う、というイメージです。「ためて→抜いて→はじく」という流れができると、床を蹴る力が上にしっかり伝わるようになったそうです。
柔軟の問題より先に、この「力の使い方のタイミング」が変わったことで、空中での足の開きも自然と変わっていったという話でした。「力を抜くなんて怖い」と感じる子もいるようですが、「ふわっと浮く感覚」を先につかんでみると、変化に気づきやすいそうです。
足を開くことよりも、まず「飛び上がる瞬間の体の状態」を整えることが先、という考え方です。これはトータッチに限らず、チアのジャンプ全般に通じる話でもあります。スコーピオンの安定にも似たような背景があります。詳しくはこちら → チアのスコーピオンがふらつく子が、安定したときに変えていたこと
変わった子の話

チアダンスを数年続けている子の保護者から聞いた話です。
その子はトータッチの高さがなかなか上がらず、練習のたびに「もっと開いて」と言われていたそうです。足を高く上げようと意識するほど、踏み切りのときに体がぎゅっと固まっていたようで、むしろ飛ぶ力が出にくかったと後から話してくれたそうです。
転機になったのは、「腕をしっかり振り上げること」と「踏み切りの瞬間に力みすぎないこと」を意識するようになったことだったといいます。腕の振りがしっかりつくと、自然と体が上に引っ張られる感覚が生まれ、同時に床を蹴るタイミングが合ってきた、と話していたそうです。
足を開くことは後からついてきた、というのがその子の感想だったようです。「つま先を意識してから飛ぶより、上に飛ぶことだけ意識したほうが開いた」と言っていたとのこと。「足を開こうとするほど上がらない」というパターンにはまっている子には、参考になるかもしれません。
ブリッジも「柔軟より体の使い方が先」という共通のテーマがあります。こちらも合わせて読んでみてください → ブリッジができない子が変わったとき、何を変えたのか
よくある質問
トータッチのコツは?
足を開こうとする意識より先に、踏み切りのタイミングと腕の振りを合わせることを意識してみると変わる場合があります。力を入れすぎず、弾むように踏み切ってから体を開く、という流れを体でつかめると、自然と高さが出やすくなります。個人差がありますので、教室の指導者の方に合わせて取り組んでみてください。
足が上がらないのはなぜ?
よく聞く話としては「踏み切りの前に力んでしまっている」「腕の振りが小さい」「タイミングが合っていない」などが挙げられます。柔軟性だけに注目しがちですが、体の使い方やジャンプのタイミングが合ってくると変わる場合があります。
練習ではできるのに、本番や他の人が見ているとうまくいかないのはなぜ?
これもよく聞く話です。練習と本番で体の使い方が変わってしまう背景には、「見られているときほど余分な力が入りやすい」という体の特性があります。意識が「うまくやらなきゃ」に向くと、踏み切りの前に体がぎゅっと固まりやすくなります。普段の練習でも「誰かに見せる」「録画する」といった場面を意図的に作り、その状況でも体がほぐれた状態でジャンプできるかを確かめていくと、本番との差が縮まっていくようです。
チアダンスの基本的な技や体の使い方全体については、こちらにまとめています → チアダンスってどんなスポーツ?技術・体の使い方・続けるコツまで
家で練習できることはありますか?
踏み切りの感覚を確かめるだけなら、その場でぽんと軽く跳ぶ練習を繰り返すことはできます。ポイントは「高く飛ぼう」より「弾む」感覚を先につかむことです。ただ、チアのジャンプは床の素材や助走との組み合わせで変わる部分も多いので、家での練習はあくまで感覚づくりの補助と考えておくほうがいいでしょう。本格的な確認は教室やホールなど、適切な環境で行うことをおすすめします。
何歳から始められますか?
教室によって異なりますが、チアダンスは幼児クラスを設けているところもあれば、小学生以上を対象にしているところもあります。体の使い方という観点では、小さいうちから「力を抜いて弾む」感覚に親しんでおくことで、大きくなってからの技の習得がスムーズになるケースもあるようです。まずは通っている教室や体験教室に直接確認してみるのが一番確実です。
気になっていたら、一度体験に来てみてください。

